2025.04.29
新築住宅でビルトイン食洗機を採用するメリットとデメリットとは?選び方も紹介

新築住宅を建てる際には、キッチン周りの設備に悩む人も少なくないはずです。キッチン周りの設備は、毎日の家事に大きな影響を与えるためです。
その中でも、ビルトイン食洗機を取り入れるべきかどうかで悩む人が多いのではないでしょうか。ビルトイン食洗機とは、システムキッチン内に食洗機を埋め込んだものを言います。食洗機は食器をセットするだけで洗いから乾燥までを自動で行ってくれる便利な家電です。食洗機には主に3種類があり、それぞれ以下の通りです。
- 分岐水栓式
- タンク式
- ビルトイン式
分岐水栓式とタンク式は据え置き型であり、大きな工事は必要がなく、新築住宅を建てた後からでも購入し、誰でも使うことができます。しかし、キッチンの上に置くことになるため、スペースが必要になるデメリットがあります。
ビルトイン食洗機は、キッチンの中に組み込まれているため、新築住宅の設計をする時点で導入を決めなければなりません。
据え置き型にもビルトイン型にもそれぞれに長所と短所があるため、食洗機を導入する際には慎重に選ぶことが大切です。
そこで、本記事ではこれから新築住宅を建てようとしている方向けに、ビルトイン食洗機の長所と短所を解説します。記事の後半では、ビルトイン食洗機の選び方についても解説するので、導入を検討している方は参考にされてください。
▼目次
1.ビルトイン食洗機を採用するメリット
新築住宅にビルトイン食洗機を導入することで得られる主なメリットは以下の3点です。
- キッチンがすっきり片付く
- 家事の時短ができる
- 高温で洗ってくれる
- 節約効果が期待できる
それぞれのメリットを詳しく解説します。
キッチンがすっきり片付く
ビルトイン食洗機を導入すると、キッチンに組み込まれているため、空間がすっきりし、整理整頓がしやすくなります。一方、据え置き型の食洗機や食洗機を使用していない場合は、キッチンのカウンター上に物を置くことになるため、整理整頓がしにくくなります。
ビルトイン食洗機を導入すれば、洗い物を全て中に収納できるため、カウンターは常に綺麗を保てます。
家事の時短ができる
ビルトイン食洗機を導入する最大のメリットは、皿洗いの手間が省ける点です。
食洗機を使わない場合、食器を洗い、すすぎ、乾かすまでに数十分の時間を要します。通常であれば、家族分の皿を洗うと10分以上の時間を取られますが、ビルトイン食洗機を使えば、皿を入れてスイッチを押しておくだけで、洗浄から乾燥まで終えてくれます。
ビルトイン食洗機を使わなければ、食器を洗った後に乾燥まで時間が掛かったり、拭き上げるのに時間がかかったりするため、トータルでも20分以上の家事時間を減らせる可能性があります。
高温で洗ってくれる
ビルトイン食洗機を使うメリットには、高温で洗ってくれる点があります。食器を高温で洗えば、簡単に汚れを落としてくれるだけでなく、油汚れまで綺麗にしてくれます。
また高温で洗うと、滅菌もしやすくなるため、安心して食器を使えるのもメリットの一つです。
節約効果が期待できる
ビルトイン食洗機を設置し、電気料金の安い夜間に洗い物をすると、電気代の節約になります。電力会社によっては、夜間の電気料金が安くなるようなプランがあるため、ビルトイン食洗機を夜間に稼働するよう設定することで節約効果が期待できます。
さらには水道代も手洗いに比べ大きく節水ができます。電気代だけではなく水道代節約にも大きく貢献いたします。
昨今は、オール電化の住宅が多いため、夜間に家電を動かし、節約する方法が効率的といえるでしょう。
2.ビルトイン食洗機を採用するデメリット
ビルトイン食洗機を導入する際のデメリットは、主に以下の4つがあります。
- 初期費用がかかる
- キッチンの収納スペースが狭くなる
- 容量に限界がある
- 洗い終わるまでに時間がかかる
- 音がうるさい
- 洗えない食器がある
デメリットを理解し、生活に必要かどうかを先に考えておくと、採用して後悔しにくくなります。
初期費用がかかる
ビルトイン食洗機の最大の欠点は、導入時にコストが発生することです。システムキッチンに組み込む際、食洗機を設置するかどうかで、約8万〜10万円の費用差が生じます。
また、容量を多くすると値段も高くなるため、家族が多い場合にはさらにコストが高くなることも理解しておきましょう。
キッチンの収納スペースが狭くなる
ビルトイン食洗機はキッチンの一部になるため、収納スペースを削らなければなりません。
キッチンには、皿、調味料、鍋などの調理道具、弁当箱などたくさんの道具を収納するスペースが必要です。しかし、ビルトイン食洗機を採用すると収納の一部を削るため、他の場所に収納スペースを確保しなければなりません。
収納が減る分、パントリーを採用するなど間取りにも影響するため、総合的な判断が必要となるでしょう。
容量に限界がある
ビルトイン食洗機は、洗える食器の量に限界があります。大きめのモデルでも最大8人分の食器に対応しますが、それ以上の食器や数が多くなる場合には収まりきらないこともあります。
また、住宅を建てた後で家族が増えて、容量が足りなくなることもあるため、導入をする際には容量を慎重に選ばなければなりません。ビルトイン食洗機の場合には、容量が足りなくなったからといってすぐに取り替えられないためです。
新築住宅の設計時点で、洗い物の量や将来の家族の人数を把握し、容量を決める必要があります。
洗い終わるまでに時間がかかる
ビルトイン食洗機を利用すると、手で洗うよりも時間が掛かります。
食洗機に食器を入れると自動で洗浄してくれますが、乾燥が完了するまでに2〜3時間程度掛かってしまうため、新たに食器を使おうと思った時にすぐに取り出せないことがあります。使う時間に工夫が必要となるでしょう。
音がうるさい
ビルトイン食洗機は、機械で食器を洗うことになるため、機械音と水の音がうるさく感じる人も少なくありません。特に電気代の安い夜間にビルトイン食洗機を使用する場合には、音が目立つ傾向にあるため、うるさく感じる人も多くなります。
洗えない食器がある
食器の中には、ビルトイン食洗機が使えない食器があります。
柔らかいプラスチックを使用していたり、漆器であったり、メッキ加工されていたりする食器の場合はビルトイン食洗機が使用できない場合が多い傾向にあります。
そのため、食器を買う際には食洗機が使えるかを確認しなければなりません。
3.ビルトイン食洗機の選び方
ビルトイン食洗機の利点と欠点を理解した上で、採用を決めた場合には、後悔しないためにも選び方は重要です。種類も多いため、慎重に選ぶようにしましょう。ビルトイン食洗機を選定する際には、次の4つのポイントを確認しておきましょう。
- 容量とサイズ
- 扉の形状
- 機能
- 静音性
それぞれのポイントを詳しく解説します。
容量とサイズ
ビルトイン食洗機を選ぶ際には、まず容量とサイズを検討しましょう。
食洗機は一般的に4人分や8人分といった家族の人数に応じた容量が示されています。したがって、現在の家族の人数や将来の人数を考慮した上で、容量やサイズを決める必要があります。
また、容量によって金額も異なるため、予算と相談しながら決めなければなりません。
扉の形状
ビルトイン食洗機の扉には、スライドオープン型とフロントオープン型の2種類があります。スライドオープン型は扉を手前に引いて食洗機を開けるタイプで、多くの食洗機に使用されています。このタイプは、食器の出し入れがスムーズでかがむ必要がない特徴があります。
一方、フロントオープン型は扉を前に倒すと内部が見えるタイプです。扉を手前に倒すため、食洗機の容量が多くなる特徴があります。
それぞれの特徴を理解するためにも、展示場で実際に出し入れしてみると使い勝手がわかり安心です。
機能
ビルトイン食洗機には、メーカーや機種により機能が異なります。予約機能、節電機能、乾燥機能など、機種によって搭載されている機能に違いがあるため、事前にどのような機能があるかを確認しておきましょう。
夜間に食洗機を利用したい場合、予約機能が便利ですので、実際のライフスタイルに合った機能を持つ食洗機を選ぶと良いでしょう。
静音性
ビルトイン食洗機では静音性も重要なポイントです。特に夜間に食洗機を稼働する場合も多いため、静音性がどうかを確認しておきましょう。
食洗機の機能表示に「運転音」で表記されているため、食洗機を選ぶ際には一度確認して比較すると良いです。
4.ビルトイン食洗機の設置をおすすめする場合
メリットとデメリットを加味した上で、次の4つの特徴に当てはまる方には、設置を検討する価値があります。
- 家事の時間を短縮したい方
- 手荒れが気になる方
- 家族が多い方
- 水道代を削減したい方
家事の時間を短縮したい方
忙しくて家事にかける時間が限られている方には、ビルトイン食洗機の設置を検討する価値があります。食事の後に食器を入れてボタンを押すだけで、洗浄から乾燥まで済ませてくれるためです。一回20分ほどの皿洗いの時間を減らせれば、一日で1時間ほどの時間を節約できます。
手荒れが気になる方
手荒れがひどい人にもビルトイン食洗機はおすすめです。特に乾燥がひどい冬になると、食器を手洗いした場合には、手荒れが悪化してしまいます。食洗機を使えば、水に触れずに食器を清潔にできるため、肌への負担を減らし、手荒れを軽減できる可能性があります。
家族が多い方
一緒に住んでいる家族が多い人にもビルトイン食洗機はおすすめです。家族が多くなると、食器も多くなり、皿洗いにかける時間が多くなってしまいます。しかし、ビルトインタイプの食洗機を使えば、まとめて食器を洗浄してくれるため、家族が多くても皿洗いにかける時間は変わりません。
水道代を削減したい方
ビルトイン食洗機を使用すると、通常の皿洗いよりも使う水の量は少なくなります。そのため、出来るだけ水道代を節約したい人にもビルトイン食洗機はおすすめです。年間を通せば、使用する水の量は手洗いの7分の1で済むため、高い節水効果があります。
5.ビルトイン食洗機の設置をおすすめしない場合
ビルトイン食洗機の導入があまり向いていないと考えられるのは、次のようなタイプの方です。
- お気に入りの食器を大切に使いたい方
- 日常的に食器の使用量が少ない家庭
- キッチンの収納スペースが限られている場合
これらに当てはまる方は、設置を慎重に検討するのがおすすめです。
お気に入りの食器を大切に使いたい方
食器に強いこだわりを持っている方には、ビルトイン食洗機の導入はあまり適していないかもしれません。
漆器やメッキ加工など特殊な加工がされている食器は、食洗機での洗浄に対応していないことが多いためです。他にもやわらかいプラスチックも食洗機に対応していない場合が多いため、食器選びに制限をかけたくない場合には、ビルトイン食洗機はおすすめしません。
日常的に食器の使用量が少ない家庭
洗い物の量が少ないご家庭では、ビルトイン食洗機の導入はあまり向いていないかもしれません。
洗い物が少ない場合には、手洗いに比べて水や電気を余計に使ってしまうケースがあり、電気代も高くなってしまうためです。また、皿洗いが完了する時間も長いため、少量の食器であれば手洗いのほうが効率的といえるでしょう。
キッチンの収納スペースが限られている場合
ビルトイン食洗機は、システムキッチンの収納スペースを削って設置します。そのため、キッチンの収納量が限られている家庭には不向きな場合があります。
特に使う食器が多い家庭では、収納が足りなくなる可能性があるため、設置を検討する際は、収納との兼ね合いを十分に考える必要があるでしょう。
6.まとめ
今回は、新築住宅を建てる際にビルトイン食洗機を採用するメリットとデメリットを中心に紹介しました。
ビルトイン食洗機には家事の効率を上げたり、キッチンをスッキリと保てたりするメリットがある一方で、導入時のコストが掛かるなどのデメリットがあります。ビルトイン食洗機を選ぶ際には、容量や機能、静音性をメーカーや機種ごとに確認し、比較検討するようにしましょう。
また、住宅会社によって標準採用されているビルトイン食洗機の機能や容量に違いがあるため、事前に確認することをお勧めします。