2026.01.07
【2025年建築基準法改正】建築確認申請における変更点と押さえておくべきポイントを解説

2025年4月から施行された建築基準法の改正によって、家づくりのルールが大きく変わります。
これまで、一定規模以下の住宅(4号建築物)は建築確認申請が必要ない「4号特例」というものがありました。しかし今回の改正により従来の4号特例が変更され、多くの木造2階建て住宅で、建築確認申請の手続きと省エネ基準への適合が義務化されたのです。
この変更により、これから住宅を建築する人たちにとっては、設計・建築コストが増加したり、工期が長期化したりする可能性があります。「理想のマイホームを持ちたい!」と考えている人は、今回の法改正を十分に理解し、住宅を建築していくうえで押さえておくべきポイントを実践していくことが重要です。
本記事では、2025年の建築基準法改正によるおもな変更点や、これから住宅を建築する人たちに対するデメリット、押さえておくべきポイントについて解説します。
▼目次
1.建築基準法改正によって「建築確認申請の手続き」が変更!
建築基準法とは、国民の生命・健康・財産を守るため、建物の敷地・構造・設備・用途に関する最低限のルールを定めた日本の法律です。地震や火災に耐える建物の安全性、衛生的で快適な環境、土地の有効活用などを目的としています。
建築基準法では、建物を建てる(新築・増改築)前に、その計画が法令に適合しているかを確認する「建築確認」があります。建築主が自治体に建築確認申請をおこない、適合していると認められることで「建築確認済証」が交付され、実際の工事が可能です。
以前まで、一定規模以下の住宅(2階建て以下、延床面積500m²以下など)は「4号建築物」として、建築確認申請が必要ありませんでした。これを「4号特例」と呼び、建築物が小規模であることから、書類の提出や構造の審査などがすべて省略されていたのです。
しかし、2025年4月から施行された建築基準法の改正によって4号特例が変更され、建築確認申請する建築物は、新しい基準への適合が求められるようになりました。
また、4号特例の変更とともに、省エネ性能についてもより高い基準が設けられました。これからマイホームを検討している人たちにとっては、住宅を建築していくうえで押さえておくべきポイントを実践していくことが重要となります。
2.建築確認申請におけるおもな変更点
2025年の建築基準法改正によるおもな変更点は以下の通りです。
- 4号特例の対象範囲が変更
- 建築確認申請の際の必要書類が変更
- 省エネ基準適合が義務化
住宅のリフォームや新築の購入を検討している方は、これらの変更点をしっかり理解しておきましょう。
4号特例の対象範囲が変更
先ほども触れましたが、以前まで以下の基準を満たす「4号建築物」は、建築確認が不必要となる4号特例の対象でした。
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対象建築物 |
条件 |
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木造建築物 |
2階建て以下 延べ面積が500平方メートル以下 高さ13メートル以下、または軒高9メートル以下 共同住宅や店舗など、特殊建築物で用途部分が200㎡を超えるものは除く |
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非木造建築物 |
平屋建て 延べ面積が200平方メートル以下 |
2025年4月以降は4号建築物の区分が変更され、「新2号建築物」と「新3号建築物」に振り分けられています。
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区分 |
対象建築物 |
建築確認申請 |
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新2号建築物 |
木造2階建て以上 木造平屋建てかつ延べ面積200平方メートル以上 非木造2階建て以上 非木造平屋建てかつ延べ面積200平方メートル以上 |
必要 |
|
新3号建築物 |
木造平屋建てかつ延べ面積200平方メートル以下 非木造平屋建てかつ延べ面積200平方メートル以下 |
不必要 |
参照:改正建築基準法について
これまで建築確認が必要なかった「木造2階建ての住宅」や「延べ面積が500平方メートル以下の木造住宅」が「新2号建築物」となり、申請や構造の審査などが必要となります。
これに対して、「新3号建築物」となる建物は、従来の4号特例と同様に建築確認が省略されます。
建築確認申請の際の必要書類が変更
新2号建築物となる建築物は建築確認が必要ですが、申請時に提出する書類が変更となっています。
- 確認申請書・図書
- 構造関係規定等の図書
- 省エネ関連の図書
法改正前の4号建築物の場合は、確認申請書・図書のみでしたが、区分が変更となったことで必要書類が大幅に増加します。
これにより申請の準備に時間と手間がかかるうえ、自治体や確認検査機関側の審査も厳格となり、審査期間が長期化する可能性が高いです。
省エネ基準適合が義務化
建築基準法の改正と同じタイミングで、「建築物省エネ法」が原則すべての住宅に義務づけられました。
建築物省エネ法(建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律)は、建築物の省エネ化を促進し、2050年のカーボンニュートラル達成を目指すことを目的とした法律です。
これまでは、おもに延べ面積300平方メートル以上の非住宅建築物に義務が科され、中・小規模な住宅に関しては届出義務・説明義務に留まっていました。
しかし2025年4月以降は、原則すべての建築物(住宅・非住宅問わず)に適合義務が課され、建築確認申請時に省エネ基準への適合性を証明する書類の提出と審査がおこなわれます。
省エネ基準は、住宅・非住宅ともに適用される「一次エネルギー消費量基準(BEI)」と、住宅のみに適用される「外皮基準」から成ります。
|
省エネ基準 |
内容 |
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一次エネルギー消費量基準(BEI) |
暖房や冷房、換気、給湯、照明に必要なエネルギーを計算し、基準値(基準一次エネルギー消費量)からどれだけ削減できているか(BEI)を算出 |
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外皮基準 |
外壁や屋根、床、窓などの「外皮」と呼ばれる部分を通じて、どれだけ熱が逃げやすいかを数値(UA値:外皮平均熱貫流率)で計算 |
2025年4月からは、「一次エネルギー消費量等級4以上」「断熱等級4以上」の適合が必要となり、適合しない場合は建築確認が許可されません。
3.これから住宅を建築する人たちに対するデメリット
法改正は建物の安全性の確保や環境への配慮などを目的としていますが、これから住宅を建築する人たちにとっては、以下のようなデメリットを受けるおそれがあります。
- 設計・建築コストが増加する
- 工期が長期化するおそれがある
設計・建築コストが増加する
新2号建築物では、これまで4号建築物だと省略されていた構造計算書の提出が義務化されます。構造計算書は専門的な知識が必要なため、設計士や構造設計の専門家への依頼が必須です。そのため、住宅設計時の費用が法改正前より割高になる可能性があります。
また、すべての住宅において省エネ基準への適合が義務化されました。基準を満たすためには、断熱性能の強化と高効率な設備の導入が必須です。高性能な断熱材や高気密サッシ、遮熱性の高いガラスなどを採用すると、建築コストの増加につながります。
工期が長期化するおそれがある
建築確認申請のプロセスが複雑化・厳格化することにより、工期が長期化するおそれがあります。
建築確認申請時の提出書類が増えるため準備に時間と手間がかかり、さらに自治体や確認検査機関側の審査も厳格となるので、審査期間が長期化する可能性が高いです。
また、従来よりも設計の初期段階で、構造計算や省エネ性能に関して細かく定めていく必要があります。そのため、設計期間自体に余裕を持っておくことが重要です。
4.これから住宅を建築する人たちが押さえておくべきポイント
これから住宅を建築する人たちにとって、法改正は非常に影響が大きいものです。しかし、いくつかのポイントを押さえることで、デメリットを回避したうえで理想のマイホームを作り出せます。
ここからはこれから住宅を建築する人たちが押さえておくべきポイントを解説します。
法改正への対応力が高い業者を選ぶ
住宅を建築する際は業者に相談するのが一般的ですが、新しい構造計算や省エネ基準に適切に対応できる体制(技術力、人員)を整えている業者を選ぶことが重要です。
法改正への対応が遅れている業者を選んでしまうと、申請不備で着工が遅れたり、急な追加費用を請求されたりするリスクがあります。
依頼する業者が「改正後の基準に沿った構造計算を標準で実施しているか」「省エネ基準適合のための具体的な実績や標準仕様を持っているか」を相談時に確認しましょう。
ゆとりを持ったスケジュールで家づくりを進める
申請手続きや審査期間が長期化することを見越して、ゆとりを持ったスケジュールで家づくりを進めることが重要です。
入居したい期日から逆算し、最低でも1年〜1年半程度のスケジュールで計画をスタートすることをおすすめします。とくに、建築確認申請の提出時期を早めに設定できるよう、設計者と連携しましょう。
性能とコストのバランスを考えて設計する
初期建築コストは増加しますが、省エネ基準適合は光熱費の削減や快適性の向上という長期的なメリットにつながります。
ただし、性能を重視しすぎるとコストが高くなりすぎる可能性があります。また、コストの安さを重視しすぎても、快適でない住環境となってしまう可能性が高いです。
そのため、住宅は性能とコストのバランスを考えて設計しましょう。自分たちだけで決められない場合は、業者と密に打ち合わせして判断していくのがおすすめです。
将来的なリフォーム計画も見据えておく
法改正は新築だけでなく、これまでは建築確認が不要だった木造住宅などの大規模なリフォームについても、申請が必要になる範囲が拡大しています。
将来的にリフォームや大規模な間取り変更を検討している場合、リフォームの際にも申請が必要になり、費用と期間が必要になることを念頭に置いておくことが大切です。
5.まとめ
2025年の建築基準法改正によるおもな変更点をおさらいしましょう。
- 4号特例の対象範囲が変更
- 建築確認申請の際の必要書類が変更
- 省エネ基準適合が義務化
法改正によりこれから住宅を建築する人たちにとっては、設計・建築コストが増加したり、工期が長期化したりする可能性があります。
しかし、信頼性の高い業者選びやゆとりを持ったスケジュールなど、家づくりにあたってのポイントを押さえることで、デメリットを回避して理想のマイホームを作り出せます。
今回紹介したポイントを実践して、家づくりを成功させましょう。
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