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2024.05.16

  • 暮らしの講座

一戸建て住宅の省エネ基準|条件やZEHとの違いについても解説

住宅 省エネ基準

これから新築一戸建て住宅を建てようと考えている方の中には、省エネ基準という言葉を耳にしたことがある方も少なくないはずです。

省エネ基準とは、建築物が必要とする省エネルギー性能の基準を国が定めたものです。これを満たすことで、住宅内で生活するためのエネルギー量が減ることに加えて、断熱性能も向上し、家計にも優しい快適な生活環境を実現できます。

今後は、一戸建て住宅において省エネ基準が一つの指標となるため、これから新築住宅を建てようと考えている方は、十分に理解しておく必要があります。

本記事では、省エネ基準の概要から、メリットやデメリットについても解説します。

記事の後半では、ZEHとの違いやどちらが良いかについても解説しているので、これから一戸建て住宅を建てようと考えている方は参考にされてください。

1.住宅の省エネ基準

住宅における省エネ基準は、国土交通省が定めた住宅性能の基準であり、建築物が一定の省エネルギー性能を保証するための指標です。

令和4年の省エネ法改正により、2025年4月以降に新築するすべての住宅は、省エネ基準を満たすことが義務づけられます。そのため、これから住宅を建てようと考えている方は、省エネ基準が一つの指標となるでしょう。

住宅における省エネ基準を決める主な項目は次の2つです。

省エネ基準の項目
  • 外皮性能
  • 一次エネルギー消費性能

それぞれの項目については、次の章で詳しく解説します。

 

2.省エネ基準を満たす条件詳細

省エネ基準をクリアするためには、外皮性能と一次エネルギー消費性能の2つの条件が必要です。このの項目は、省エネ基準を満たすだけでなく、快適な生活環境を実現し、エコな暮らしをするためにも必要になるため、住宅を設計する前に理解しておく必要があります。

それぞれの項目について詳しく解説します。

外皮性能

住宅における外皮性能は、断熱性能を表す指標であり、以下の2つの項目が基準となります。

外皮性能を決める基準
  • 外皮平均熱貫流率(UA値)
  • 冷房期の平均日射熱取得率(ηAC値)

それぞれの概要と算出方法は以下の図を参考にしてください。

住宅 省エネ基準

引用:省エネ基準の概要(国土交通省)

UA値もηAC値も、省エネ基準となる値は、地域によって変わるため、これから住宅を建てる場所がどの地域区分に該当するかを確認しておく必要があります。

外皮性能を向上させるためには、以下のような対策が必要です。

  • 性能の高い断熱材を使用する
  • 高断熱の窓サッシやガラスを採用する
  • 気密性の高い設計にする

外皮性能の高い住宅を建てるためには、設計時点での工夫が必要となるため、住宅会社と打ち合わせをする前に、上記については詳しく勉強しておく必要があるでしょう。

断熱性能については、別記事「住宅を高断熱にするメリットとは?2種類の断熱工法と合わせて解説」で詳しく解説しているので参考にされてください。

一次エネルギー消費性能

一次エネルギー消費性能は、住宅で生活する際に必要なエネルギー消費量の基準を示します。一次エネルギー消費性能の算出方法については、以下の図を参考にしてください。

住宅 省エネ基準

引用:省エネ基準の概要(国土交通省)

標準仕様では、通常の一次エネルギー消費よりも少ないエネルギーを使用する場合、一次エネルギー消費性能が高いと評価されます。一次エネルギー消費性能を上げるための設備は以下のようなものが挙げられます。

  • 太陽光発電
  • エコキュート
  • 性能が高い冷暖房器具
  • LED照明

一次エネルギー消費量を軽減できれば、電気代が安くなるため、月々の家計の負担も少なくなります。外皮性能と同様に、住宅を建てる際の設計時点から工夫が必要となるため、打ち合わせの段階で一次エネルギー消費量がどうなっているかを十分に確認しておきましょう。

 

3.省エネ基準を満たすメリットとデメリット

今後は省エネ基準が一つの指標となり、基準を満たさなければ住宅が建てられなくなりますが、基準を満たす際のデメリットについても把握しておく必要があります。

デメリットを理解しておかないと、予算の算出や業者選びで失敗してしまう可能性があるためです。

改正建築物省エネ法で省エネ適合義務が課せられた以外に、省エネ基準をクリアするメリットと、適合させるにあたってともなうデメリットを解説します。

省エネ基準をクリアするメリット

省エネ基準を満たすメリットは主に以下の3つがあります。

メリット
  • 快適な住環境の実現
  • 月々の電気代が低くなる
  • 環境にも優しい

それぞれのメリットを詳しく解説します。

快適な住環境の実現

省エネ基準を満たすと、高い断熱性能を持つ住宅が建てられます。断熱性能が高まることで、外気の影響が受けにくくなるため、住宅内の気温は一定に保たれやすくなります。

これにより、暑い夏でも寒い冬でも快適な室温を保つことができます。また、高い断熱性能は結露やカビの発生も予防できるため、健康被害も予防できる可能性もあります。

月々の電気代が低くなる

省エネ基準を満たすということは、一次エネルギー消費量が低い状態のため、支払う電気代が少なくなります。高機能の冷暖房器具やLED照明など、使用する電気代が少ない機械を使用するからです。

さらに、太陽光発電も併せて採用すると自らエネルギーを作り出すことが可能となり、さらに光熱費は節約できます。

環境にも優しい

省エネ基準を満たすと、生活に必要となるエネルギー量を減らせるため、環境にも優しい住宅ともいえます。

また、太陽光発電や蓄電池を採用することで、さらに消費するエネルギー量は減らせるため、エコに繋がります。

省エネ基準を満たすことは、住環境が良くなるだけでなく、人にも環境にも優しくなるため、メリットばかりと言えるでしょう。

省エネ基準をクリアするにともなうデメリット

省エネ基準を満たすと、メリットだけでなく、デメリットも少なからずあります。省エネ基準を満たすデメリットは以下の2つです。

デメリット
  • 建設時のコストは高くなる
  • 業者選びに制限がかかる

建設時のコストは高くなる

省エネ基準を達成するには、これまでの住宅建設よりも設備を整える必要があります。

高性能な断熱材を使用したり、高性能の窓サッシやガラスを採用したりする必要があるからです。

これらの高性能な設備は価格が高くなる傾向があるため、通常の住宅よりも建設コストが高くなってしまいます。

業者選びに制限がかかる

省エネ基準を満たすためには、断熱性能を高める必要があります。しかし、一部の建築業者には、高性能な住宅を建設する技術が不足している場合もあり、自由に建築業者を選べない可能性もあります。

建築業者と契約を結ぶ前に、省エネ基準以上の住宅を建てた実績があるか否かを確認しておく必要があるでしょう。

 

4.省エネ基準とZEHの違い

住宅の性能を評価するためには、省エネ基準とは別にZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)があります。

ZEHは、住宅で使用される一次エネルギー消費量をゼロにすることを目指して作られた住宅を指します。これは、住宅が必要とするエネルギーを、自家発電など再生可能エネルギーでまかなうことを意味します。

省エネ基準は住宅のエネルギー効率を向上させ、一次エネルギー消費量を削減することを目指す取り組みですが、ZEHは厳しい条件をクリアする必要があり、一般的な省エネ基準よりも高いレベルの性能が求められます。

ここでは省エネ基準とZEHの違いを紹介します。

断熱等性能等級

断熱等性能等級は、建物の断熱性能を示す指標です。この等級は、建物の断熱性能を1から7の段階に分類し、数字が大きくなるほど断熱性能が高いことを示します。

この断熱等性能級は、先述のUA値とηAC値を用いて算出されます。これらの値が低いほど、断熱性能が高いと評価されます。

省エネ基準を満たすための等級は、断熱等性能級4以上とされます。

一方で、ZEHを満たす基準は断熱等性能等級5以上とされます。このことから、ZEHでは省エネ基準よりもさらに高い断熱性能が求められることがわかります。

断熱等性能等級は、地域により等級に必要となるUA値やηAC値は変わるため、どこの地域区分に該当するかを確認しておきましょう。

一次エネルギー消費量等級

一次エネルギー消費量等級は、住宅が1年間で消費するエネルギー量を算出し、等級別に段階分けしたものです。この等級は、1から6の段階で示され、数字が大きいほど消費量が少ないことを意味します。

省エネ基準では一次エネルギー消費量等級4以上が必要とされます。これは、比較的標準的な住宅の範囲内でのエネルギー効率を表しています。

一方、ZEHの一次エネルギー消費量等級は等級6以上とされています。これは、住宅が年間で消費するエネルギー量をほぼゼロに近づけることを目指す数値です。

 

5.省エネ基準とZEHはどっちがいい?

省エネ基準とZEHは、どちらも基準を満たせば高性能な住宅となりますが、より快適な環境を求めるのであればZEHが良いでしょう。なぜなら、基準を満たすために必要な断熱性能はZEHの方が高いためです。

さらに、ZEHであれば生活に必要となるエネルギーを太陽光で賄えるため、電気代も節約できます。

ただ、ZEHは高性能の住宅になるため、設備の投資費用は省エネ基準よりも高くなる傾向があります。したがって、住宅を購入する際には、補助金の内容や予算と相談しながら選ぶ必要があるでしょう。

 

6.まとめ

省エネ基準は、2025年からは住宅を建てる基準となる指標となるため、今のうちに省エネ基準を満たす条件は理解しておく必要があるでしょう。

また、将来的には全住宅でZEHが基準となる可能性が大きいため、ZEHと省エネ基準の違いについても理解して備えておくと安心です。

省エネ基準以上の住宅を建てられる業者を選ばなければ、高性能の住宅は建てられないため、住宅会社選びは重要です。

注文住宅のエソラでは、省エネ基準以上の住宅を建ててきた実績もあるため、気になる方は一度ご相談ください。